好みがバンドマンからEXILEになって変わったこと

好みの変化について語るだけの記事です。

 

私は(元)バンギャなので、わりと中性的な顔立ちや雰囲気を持つ男の人がタイプだという自覚はある。きれいな顔でガリガリの細い身体で、煙草と煙草の煙が似合って、ダメージジーンズに黒い外タレのバンドT着てごつめのシルバーアクセじゃらじゃらつけて、サングラスして金髪みたいなのが至高だと思っている部分はまだある。

歌舞伎町の裏路地でゴミ箱の影にしゃがみこんで煙草ふかしながら暗くならない魔都の夜空を見上げ、口の端だけで笑ってバドワイザーの瓶を傾けるような男の人がすきだけど、歌舞伎町でこんな人を見かけたら声をかけずに通り過ぎるのが正解だし、NANAの世界にはいるかもしれないけど現実にいたらしんどすぎるのは理解している。理想と現実は常に噛み合わないし、ジョージ・オーウェル「一九八四」に出てくる「二重思考」は人間にとって無意識のジャスティスみたいなとこある。椎名林檎の曲名かよ。

 

EXILEの中に中性的な雰囲気の男の人はいない。GENERATIONSの片寄くんみたいにジャニーズ系のきれいな顔した男の子もいるけど、そんな片寄くんですらなんとなく雰囲気は「オス」だ。世界のイケメンランキングに入ったきれーな顔した岩田さんも、「オス」という言葉が適当でなければ、「男性」って感じがする。

オタクの言う「かわいい」はそれしか言えない病気にかかってるから自信を持って多用してるだけで、かわいい!!!!と大騒ぎする対象だって8割9割「カッコイイ」でできてる。カッコイイの中身は男性的でワイルドで、体格差を思い知るような身長とか適切に筋肉がついた引き締まった身体とか、そのほか「中性的」には含まれない諸々の要素だ。

「すき!」「カッコイイ!」と思い始めるのは、芸能人であればあるほど最初はビジュアルだと思っているんだけど、まず見た目の好みが真逆だったところからどうやってEXILEメンバーを「カッコイイ!」と思えるような脳回路になったか謎すぎる。

でも先人は「すきなもんはすきだからしょうがない」という知恵を残しているので、好みの変化に明確な理由がある方が珍しいパターンなのかもしれない。好みが変わってから、というか、EXILEメンバーをカッコイイ!と思うようになってから、意識が変化し始めた自覚がある。

 

オタクは化粧ができない、ファッションセンスがない、健康的じゃない、みたいなイメージを持たれてるのは知ってるし、それに当てはまるような人がいるのも知ってるし、ぜんぜん当てはまらない人がいるのも知っている。

バンギャも生まれたばかりの頃は黒い服しか選べない。進化の過程で白黒以外の色があることを理解する個体もいるけど、ほかの色があるのを知ったところで組み合わせ方が「うそだろ…?」みたいになるときもある。私もそうだったから心臓が痛い。

ゴリゴリのバンギャで不健康で不道徳な人がタイプだった頃でも、その人が好む服装や雰囲気に近づけるように暗黒の洋服を選んだり、まぶたをマッキーで塗りつぶしたあと目をこすりましたみたいなメイク方法を実践してみたりした。

ただなぜか、ここに「かわいくなりたい」という希望はなかった気がする。ここで言う「かわいくなりたい」は「魅力的な女性になりたい」という意味だ。「魅力的な女性」というのは「男性にとって」だと思ってもらっていいし、「世間一般で」と前置きしてもらってもいい。

相手が道を踏み外したバンドマンなので、バンギャであるこっちもアウトローな生き方を進んで選択していきたいというテンションがあった気がする。「すき」という気持ちは「共有したい」という欲を生むから、「マネする」という行為が派生するんだけど、標準的であることから逸れたバンドマンをマネして「理解されない私たち」という枠に入りたがっていたような気がする。理解されたくないので世間一般のかわいいは無意味だし、魅力的であることの要素は「謎めいた」とか「不思議な」というような形容をされる類のことだった気がする。さっきから「気がする」が多い。

 

EXILEのファンになってから、女性的な魅力を持とうと努力するようになった。

「女の子ってかわいいよね」「守ってあげたいよね」「こういう仕草をする女の子っていいよね」みたいな話をEXILEメンバーがよくするんだけど、枕詞に「俺の好みの超絶美人が」ってつくのがわかっていても、「あ、女の子って大事にしてもらえるんだ」みたいな感覚がけっこう新鮮だった。実際に守ってもらえるんだろう、と思えるような物理的な説得力もある。身長インフレ起こしてる180cm前後のメンバーが太刀打ちできなかったら155cmの私は即死だろう、みたいな計算もする。現実的な力の差は、私(女の子)を守るためにあると思うとときめく。

嫌いだった夏が私もすきになったし、水着が似合うようになりたいと思うようになったし、健康的に痩せたいとか、腹筋鍛えたいなとか、ライブの前はネイルサロンに行くし、ずっと短かった髪も伸ばし始めた。

 

バンギャの頃だってネイルに気を遣ってたし、化粧だって勉強したし、服だってライブのたびに新調したりしたけど、尊重される軸は「個性的かどうか」だったし、「ほかの子とは違う」だったし、それでいて「まとも」だった。求められる雰囲気の中で「私」が満足しているかが重要で、満足している「私」でライブに行くことが身だしなみの物差しの一つだった。

言い方が悪いかもしれないけど、バンギャの頃は「女の子はアクセサリー」という認識が強くて、その認識を私自身も持っていたのがダメだったのかもしれない。当時はそれでいいと思っていたんだけど。女の子には主体性とか自主性とかあんまり求められなくて、美人でスタイルがよくて、そこそこまともであるのがいいアクセサリーの条件だと思ってた部分があった。だから自分で魅力に満足してないと意味がなかったという二重思考。

バンドマンはろくでもないからなにをされてもある程度しょうがないよね、そういうエピソードの一つや二つある方がスゴイ女だと思われるよ、みたいな無言の常識があったような気がする。女の子は男に振り回されるもので、イメージとしては昭和の女、3歩下がってついていきます系の考え方がウケてたような実感があった。

中性的なバンドマンに男性的な魅力を感じてすきになったことはないんだけど、言動にのみ悪い部分の「男性」を反映されても、それはそれで仕方ないと思えていたあの頃はなんだったんだろう…といまになって思う。

 

EXILEの世界だと、上手く言えないけど、自信を持って「私はいい女よ」って言える子ってサイコー、という認識を私自身が持っている。でも、いざとなったら守ってもらえる安心感もある。「男性的なカッコイイの魔法」はそこそこすごいんじゃないかと思う。

女の子を女の子として扱ってくれるエピソードが語られるのを聞くのがすきだ。自己評価でもきれいになっていくのがわかるのはたのしい。けっこう女性性に劣等感を持って生きてきたようなところがあるにはあるので、ぜんぜん別の価値観で再評価されるのは心地が良い。

 

そんなこんなでEXILEがすきだ。

 

 

特定の誰かの話じゃなくて、全体の雰囲気の話をしているので、どちらの世界にも「そうじゃない人」がいるのは知っている。恋愛経験の多い人はこういったことを恋人の変遷で実感するのかもしれないけど、恋愛経験値マイナスの私は推す世界の変化で気が付きました。

この話は私の実感の話であって、その他大勢の人にも当てはまるとは思ってないし、どっちがいい悪いと強く主張するつもりもない。どっちにもまだ気が付かない「いい部分」と「悪い部分」があるだろうこともわかっているよ。

いい歳したバンギャがEXILE一族にハマった

私の好みは色白で、ガリガリで、骨と血管が浮いていて、煙草吸ってて、不健康の極みみたいな人だった。バンギャならだいたいの人はこうだと思う。だってステージ上のバンドマンがだいたいこんな感じだからだ。

だから、「えぐざいる?待って、勘弁してよ、筋肉とかむりだし、頭の中まで筋肉詰まってそうwwむりむりwww」っていうスタンスだった。それが最近きれいに崩れて、私の人生は再び聖なる海とサンシャインと化したので聞いてほしい。あわよくば、みんなEXILEにハマればいい。すげえ楽しい!病院坂の途中であの日に出会ってる場合じゃないし、蒼い孤独を手に入れてる場合じゃないんだ!みんなでようかい体操第一を踊るときなんだ!

 

 

1.EXILE入門~EXILEヴィジュアル系で例えるよ~

私がどこからEXILEに入ったかというと、今年の8月と11月に映画の続編が立て続けに公開されるHiGH&LOWです。このプロジェクトは事務所社長の肝いりで現在進行形であっちゃこっちゃで展開されているので、名前くらいは聞いたことがある人もいると思う。ヴィジュアル系で例えづらいけど、顔のいいバンドマンと実力派若手イケメン俳優をごった煮してスタイリッシュに美しく撮っただけの長いMVだと思ってくれていい。ストーリーなんて理解しなくていいんだ、感じろ。

かつてHY○Eさんの「下弦の月」とか「MOON CHILD」とかで「かっゆ!!!」ってなった人も安心してほしい。演技が心もとないバンドマンも多いけど、そこは実力派の本業俳優陣が華麗に補完してくれる。かゆいところもなくはないけど、みんな顔がいいしこれはMVなので気にしないでほしい。

私がここでハマったのは実力派俳優・窪田正孝さん演じるところのスモーキーさんなわけだけど、たぶんハイローを見たバンギャの5割はスモーキーさんにもってかれると思う。病弱だし吐血するから。マカブの頃の京くんみたいじゃん。彼はバリウムだったわけですけど。バンギャ、「吐血」とか「包帯」とかそういう要素に弱いから。ただしスモーキーさんは「ママ~飴玉ちょうだい~」とは言わない。

私はスモーキーギャとなったわけだけど、ほかにも登場人物はたくさんいるし、キャッチコピーが「全員主役」という「テメーらいい加減にしてください」みたいな適当さと力強さなので安心してほしい。なにより出演しているバンドマンについてはアテ書きが基本になってるから、気になった人が事務所所属だった場合に話が早い。そこからズブズブ入ってきてほしい。

まあでも、「言うてもえぐざいるなんでしょ(笑)」みたいな反応は多いと思う。それがわかってて自分から手に取るバンギャは、あんまりこじらせてない気がするから自信を持ってほしい。いちばんいいのは、すでにEXILEにハマっている人にハイローを解説してもらいながら見ることです。

私もそうだったんだけど、まず「EXILE」っていう字面に拒否反応起こしてジャパニーズモダニスト気取るのよくない。騙されたと思って見てほしい。なにかしらバンギャの琴線にひっかかるキャラは出てくる。なぜなら、わりとキャラクターの背負ってる闇が重い。そういうの好きなバンギャ多いと思う。私は好きだ。そういうの好きじゃなかったら「304号室、白死の桜」とかノートのすみっこに書かないから。

 

2.ハイローを推す要素~バンギャにでしゃばってほしい理由~

ハイローの設定として、「SWORD地区」というのがキーになってくる。SWORDというのはその地区を束ねている5つのグループのチーム名の頭文字を取ってつけられたもので、つまり5人の頭とその仲間が各々の地区を治めている。大まかな流れとしては、5つの地区で小競り合いしつつ、次第に交流しながら共通の敵に向かって結束を深めていくというもの。この説明だけで丘ライブが感慨深いものになってきたんだけど、まあつまりそういうことです。アクロだろうがメギドだろうが、約束は果たされるんだ。

先述したとおり5人の頭がいるわけだけど、スモーキーさんも頭の一人。属性は吐血と無口で、チームの二つ名は「無慈悲なる街の亡霊」。こういう設定ゾクゾクする。ちなみにスモーキーさんはSWORDのRであるところの「RUDE BOYS」を率いているよ。

Sは「山王連合会」で、「山王街二代目喧嘩屋」。「虜」とか「海月」とか呼び合ってた漢字に敏感な人たちにチェックしてもらいたい。山王の頭はコブラちゃんです。猪木さんを崇拝し、コブラツイストをかけまくった結果あだ名がコブラになるっていう、これがバンギャだったらXを崇拝しXジャンプするあまりあだ名がXになるみたいなもんです。

Wは「White Rascals」で、「誘惑の白き悪魔」。ここの頭のロッキーさんには、母親と姉が父親のDVが原因で自殺していて、首吊った母親と姉のそばで塩焼きそばを食べるというシーンがあるよ。「鼓動」と「朔」が繋がったと思ってくれていいよ!

Oは「鬼邪高校(おやこうこう)」で、「漆黒の凶悪高校」。二つ名だけはMoi-meme-Moitieぽいといえば、ぽい。Moi-meme-Moitieてまだあるんだろうかと検索したら00年代にタイムスリップしたみたいなサイトが出てきてびっくりしました。オヤコーの頭・村山さんは噛ませ犬からゆるふわ系に進化するので、「『妄想日記』歌ってた人たちですか!?」レベルの確認をしたくなる。

Dは「達磨一家」で、「復讐の壊し屋一家」。和モチーフ担当なのでKaggraとか陰陽座が好きだった人には刺さると思う。寺をアジトにして和装するわりにアメ車に乗るので、ネオ・ジャパネスク・スタイルを地でいってる。

ここまでバンギャ向けに書いておいてアレだけれども、バンギャはオタクを兼ねている人が多いという偏見があるので、チームごとのテーマソングとかチームファッションとか、考察厨に優しいガバガバの脚本とか、本格的なスタイリッシュケンカバトルとか、あいつとこいつの関係性とか、ニチアサの人がけっこう出てるとか、相関図がやばいとか、マッドマックスだとか、漫画をCLAMPが描いてるとか、琥珀さんがエメロード姫だとか、100人vs500人=1000人いる!?とか、いろいろ推したい要素があるんです。

なんでここまで布教してEXILE界隈にバンギャにでしゃばってほしいかと言うと、まっとうにEXILEを好きなファンだけに任せておいたら絶対に全部拾えない!というとこです。みんなで拾いに行かないともったいない要素がインフレ起こしてるので、うるせえつべこべ言わずに見てくれ!バンギャだろうがオタクだろうが歓迎する!助けてくれ!という心境。

雨宮兄弟なんて血の繋がりがない兄弟なんだぜ?大丈夫?これほっといて大丈夫?「わ~TAKAHIROと臣カッコイイ~♡」で終わって大丈夫?大丈夫じゃねえよ。拾って!!!「なにがあっても琥珀さんについていきます」って龍也さんの墓の前で呟く九十九さんと遠ざかる琥珀さんの場面も、「めっちゃ感動した~TT」で終わって大丈夫?大丈夫じゃねえんだよ。拾って!みんなで!拾って!!お願い!!!こっちはもう冷静沈着でもクールでもない。

騙されたというか、一瞬迷子になってしまった~くらいの気持ちでいいから入ってきてほしい。今回バンギャに勧める体で記事を書いたのも、いまだにバンギャ友達には「ハッ!なにがいいのかわかんな~い(笑)」って吐き捨てられるからなんですけど、まじで友達を助けると思って迷子になってほしい。頼む。

 

3.ハイロー・EXILEにハマると受けられる恩恵

とにかく事務所が潤沢に「人に」金をかけてくれるし、冒頭で書いたとおり社長の肝いりプロジェクトでもあるので、ドラマ・映画だけにとどまらずハイロー世界をもってきたようなドームライブもするし、去年は飲食と展示がメインの「ベース」があったけど今年はそこに遊園地も加わった「ランド」が開催されるし、年2本ていうバカみたいなスピードで映画が公開されていくし、新キャストは続々発表されるし、舞台挨拶はあるし、ハイロー関連だけでこれだけある。私は中の人にもハマってしまったのでライブもある。

オタクもバンギャも根底は「すきなものにお金をかけて、自分もハッピーになりたい」だと思っているので、そういう意味ではEXILE界隈にはファンがお金をかけられるところが無限に用意されている。月刊雑誌も出てるしアパレルもあるしコーヒー屋もあるし。ライブにはメンプログッズもあるし。写真集出すやつはいるし舞台やるやつはいるし。顔がすきな人を見つけると常にすきな顔を見せてくれるんで、毎日元気に生きられるよ。病んだツイートとか空気読まないロックなことしないし。

バンドマン追っかけてるときみたいな、「あ~なんでこの人こうなんだろう!もっとこうした方がウケいいし、キャラにあってるのに!金も落としやすいのに!」っていうジレンマが、少なくとも私はなくなったよ。背負うものが闇とか人生とかわかりにくくて心配を煽る要素じゃなくなるとこうなるんだー、という。上手く伝わるかわかりませんが。でもバンギャなので不安定なバンドマンは相変わらずすきだし、相変わらず包帯みたいなアイテムがすきだ。

 

4.おわり

このタイミングでハイローいいよ!って記事を書いたのは、ドラマ+映画2本しか映像がない今しかハイローを追うことを勧められないと思ったから。今年も2本の映画が公開されるし、コンテンツ盛りだくさんなので本当にいまのうちだ。と思う。映像は振り返って追えるけど、ほかのコンテンツはいましかないかもしれない。というのを後悔してほしくない。というお節介。

EXILEにハマって1年弱くらい経って、なにか形に残しておきたいなって思ったので書いた1記事目でしたけど、わりとすでに末期なので次は中の人について書きたいと思うよ。

どうでもいいけどこの記事に出てくるバンドとか曲とかが、けっこうな昔に分類されるのは知ってるんだ。歳がバレるのも知ってるんだ。